原発事故関連教材紹介

2011年3月11日の福島第一原発の事故以来、われわれは否応なく放射線と向き合いながら生活していくことになりました。このページは、公益社団法人福島原発行動隊の活動の一環として、原発事故や放射線、放射性物質について説明した書籍、PDFなどの教材、資料を集めたものです。記述の難易度や内容について一定の評価を行いました。評価の記述は、あくまでそれぞれの執筆者個人によるものであり、目安にすぎませんが、教材などとして利用される際の参考として、ご活用ください。
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やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識



内容の程度専門的やや専門的一般向け中学生小学生
    
図版類の使用程度
(写真・イラスト・表)
図版主体図・文半々文章主体
  

内容項目  \  評価非常に詳しい詳しい一応の説明少しなし
原子力発電の事故
原子力発電のしくみ
原子力発電と社会・経済・環境
放射性廃棄物の処理
放射線と放射性物質
放射線の人体への影響
放射線の利用
放射線の測定方法
放射線から身を守る
除染について

【発行形態】Web掲載pdfファイル、市販書籍
(基本はWeb掲載資料で、同じ内容を市販書籍としても発行している)
【タイトル】やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識
【著者】田崎晴明(学習院大学理学部・研究者)
【発行所】Web掲載=田崎晴明、市販書籍=朝日出版社
【発行年月日】Web=2012年6月11日、市販書籍=2012年9月27日
(Web掲載については随時更新)
【価格(税抜き)】Web掲載=無料、市販書籍=1000円
【本文刷色、ページ数】1色、126p
【URL】http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/radbookbasic/

内容説明
 この本は、福島第一原発の事故を前提として、日本人全体が否応なくかかわらざるをえなくなった「放射線」について、「放射線とはそもそもどういうものか」「放射線が人間に与える影響」について、わかりやすく、そして詳しく説明したもの。著者は物理学を専門とする研究者だが、必ずしも原子力の専門家ではない。事故後に自らが勉強をしながらまとめた本といえる。「原子力が専門ではないが、物理を専攻する人」が書いた本であるだけに、むしろ原子力にまったく知識のない人にでもわかりやすい解説になっているのかもしれない。
 本書のねらいについて著者はいう。「事故からはすでに1 年以上が経った。しかし、放射線との付き合い、あるいは『闘い』は、まだまだ始まったばかりだ。これから先の長い年月、ぼくたちは『やっかいな放射線』としっかり向き合いながら暮らしていかなくてはいけないのだ。そのためには、みんなの『常識の基盤』を広げて、放射線に関わる事柄もカバーできるようにする必要があると思う。(改行)『シーベルト』や『ベクレル』にみんなが慣れるのはもちろん、『放射線のエネルギーは、化学反応のエネルギーに比べて、桁違いに大きい』とか『放射線被曝による発癌についての現在の知識のおおもとになっているのは広島・長崎での被爆者の追跡調査だ』とか『各地で空間線量があがっているのは地面に放射性セシウムがくっついているからだ』といったことも、社会の共通の知識になるべきだと思う。そういう風になって、ようやく、放射線の問題について、一人一人が自分なりの判断をし、社会全体として議論していけるようになるのではないだろうか?(改行)ちょっと大げさかもしれないけれど、この本は、そんなことを考えながら書いた」
 これまでは、著者のいう「放射能についての常識の基盤」がまったくなかった。これからの日本社会にはそれが必要になるという点については、まったくの同感である。
 第2章で「放射線とは何か」について説明しているが、原子の成り立ちから説明されていて、非常にわかりやすい。また、4章〜6章は「放射線がどんな影響を与えるのか」について説明しているが、これもさまざまな視点からわかりやすい説明がなされている。

目次内容
第1章 はじめに
 1.1 ひどい事故がおきた
 1.2 新しい「常識の基盤」をつくっていくために
 1.3 この本の構成
第2章 放射性物質と放射線
 2.1 原子、分子、そして、化学反応
 2.2 原子核と放射線
 2.3 放射性物質
 2.4 放射線
 2.5 放射線に「常識」は通用しない
第3章 原子力と原子力発電所事故
 3.1 原子力発電とは何か
 3.2 福島第一原子力発電所での大事故
第4章 放射線の被曝と健康への影響
 4.1 放射線の被曝
 4.2 シーベルトとは何か
 4.3 被曝の健康への影響
 4.4 被曝によってどれだけ癌が増えるか
 4.5 被曝による癌のリスクについての「公式の考え」
 4.6 確率的におきる出来事についての考え方
 4.7 子供の被曝は別格に考える
第5章 放射性セシウムによる地面の汚染
 5.1 汚染の大まかな様子
 5.2 地面の汚染と放射線
 5.3 空間線量率と被曝線量
第6章 放射性セシウムによる食品の汚染
 6.1 食品の汚染と内部被曝
 6.2 実効線量を用いる内部被曝の見積もり
 6.3 セシウムの平衡量とカリウムの量の比較
 6.4 セシウムの内部被曝についてどう考えるか
第7章 さいごに
 7.1 被曝による健康被害はどうなるのか
 7.2 これからどう考えていけばいいのか
付録A 知っていると便利なこと
 A.1 エネルギーって何?
 A.2 10 のべき乗| 大きい数と小さい数の表わし方
付録B 関連する少し詳しいことがら
 B.1 リスク、過剰絶対リスク、過剰相対リスク
 B.2 吸収線量、等価線量、実効線量
 B.3 ベクレルからモル、グラムへの換算
 B.4 セシウム134 とセシウム137 の放射能強度比
(内藤忍)