原発事故関連教材紹介

2011年3月11日の福島第一原発の事故以来、われわれは否応なく放射線と向き合いながら生活していくことになりました。このページは、公益社団法人福島原発行動隊の活動の一環として、原発事故や放射線、放射性物質について説明した書籍、PDFなどの教材、資料を集めたものです。記述の難易度や内容について一定の評価を行いました。評価の記述は、あくまでそれぞれの執筆者個人によるものであり、目安にすぎませんが、教材などとして利用される際の参考として、ご活用ください。
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低線量放射線を超えて〜福島・日本再生への提案



内容の程度専門的やや専門的一般向け中学生小学生
    
図版類の使用程度
(写真・イラスト・表)
図版主体図・文半々文章主体
  

内容項目  \  評価非常に詳しい詳しい一応の説明少しなし
原子力発電の事故
原子力発電のしくみ
原子力発電と社会・経済・環境
放射性廃棄物の処理
放射線と放射性物質
放射線の人体への影響
放射線の利用
放射線の測定方法
放射線から身を守る
除染について

【発行形態】市販書籍
【タイトル】低線量放射線を超えて〜福島・日本再生への提案
【著者】宇野 賀津子(生物学科卒業、理学博士、免疫学の専門家)
【発行所】小学館(小学館101新書)
【発行年月日】2013年8月5日
【価格】720円+税
【本文刷色、ページ数】単色 217ページ

内容説明
著者は,エイズの教育,新型インフルエンザの流行対策,がんの免疫療法などに実践的に関わってきた学者.著者は,この本の中で放射線が生き物に及ぼす影響を語るとき物理系の人と生物・医学系の人には大きな違いがあると言っています.物理系の人は放射線が分子に当たるとその分子がどのように変化するかに注目するので,放射線の量が少ないときでも放射線の影響はあると主張することになります. 生物・医学系の人は生物には酸素の害を除去する力や,免疫力(病気から回復する力,がん細胞の発生・成長を抑える力)があり,この力によって(いわゆる自然放射線の影響を受けつつ)地質学的年代を生き抜いてきたのが現在の生き物であるという考えに基づいて量が少ないときの放射線の影響についても考えます.
分子に変化が現れるという点に注目して近視眼的に考えると,放射線には少ない量でも当たるべきでないということになります.どちらががんになり難いかというふうに総合的に考えると,放射線を受ける量を少なくするために食べ物を制限して家に閉じこもって運動しないのと,食べるべきものを食べ家から出て運動するのとどちらがよいかということになります.
放射線が分子や細胞にどのような変化をもたらすかについては全くの非専門家である著者が福島原発事故後の低線量被ばくに関心を持つようになったのは,近視眼的(自称)専門家の発言が福島産の食料は流通させるべきではないというような“風評”の根拠となったことに疑問を感じたからのようです.著者が長らくエイズや新型インフルエンザの“風評”問題に関わってきたことがその根底にあります.
著者が低線量被ばくの健康に及ぼすそれなりの数の文献を勉強して仲間の物理系の研究者とも議論した結果をまとめたものが本書です.著者の結論は,「(年間数ミリシーベルトはもちろん数十ミリシーベルト程度でも)いわゆる低線量被ばくのがんへの影響は(喫煙などの)生活習慣のがんへの影響と同じ程度である」です.著者は除染や食物の規制にこだわりよりも生活習慣に気をつけることを推奨しています.
自分で勉強することも実験することもできない私たち普通の市民にとって,低線量被ばくの健康問題は自分では結論を下せない問題です.結局誰かの言うことを信じるしかありません.この著者の言っていることはまともであるというのが筆者の“個人の意見”です.
(伊藤邦夫)

目次
はじめに
第一章 3・11地震、津波、そして福島原発事故が起こった
第二章 低線量放射線の影響
第三章 生体が獲得してきた防護システム
第四章 がん化抑制最後の砦〜免疫
第五章 免疫力を上げる方法
第六章 勉強、そして科学的に考えよう
おわりに