原発事故関連教材紹介

2011年3月11日の福島第一原発の事故以来、われわれは否応なく放射線と向き合いながら生活していくことになりました。このページは、公益社団法人福島原発行動隊の活動の一環として、原発事故や放射線、放射性物質について説明した書籍、PDFなどの教材、資料を集めたものです。記述の難易度や内容について一定の評価を行いました。評価の記述は、あくまでそれぞれの執筆者個人によるものであり、目安にすぎませんが、教材などとして利用される際の参考として、ご活用ください。
このページを印刷する
放射線を科学的に理解する〜基礎からわかる東大教養の講義



内容の程度専門的やや専門的一般向け中学生小学生
    
図版類の使用程度
(写真・イラスト・表)
図版主体図・文半々文章主体
  

内容項目  \  評価非常に詳しい詳しい一応の説明少しなし
原子力発電の事故
原子力発電のしくみ
原子力発電と社会・経済・環境
放射性廃棄物の処理
放射線と放射性物質
放射線の人体への影響
放射線の利用
放射線の測定方法
放射線から身を守る
除染について

【タイトル】放射線を科学的に理解する〜基礎からわかる東大教養の講義
【資料キーワード】放射線、放射性物質、人体への影響、環境への影響、放射線計測、放射線防護
【発行形態】市販書籍
【著者】鳥居寛之、小豆川勝見、渡辺雄一郎(いずれも東京大学大学院総合文化研究科助教)
【発行所】丸善出版
【発行年月日】2012年10月10日
【価格(税抜き)】2500円
【本文刷色、ページ数】1色、240p

内容説明
 われわれ一般人にとっては「放射線」などというものは、年に1回とる健康診断のレントゲン写真以外、ほとんど縁のないものだった。しかし、2011年3月11日の福島第一原発の事故以降、否応なくこの「放射線」なるわけのわからないものに関心を持ち、向き合わざるをえなくなってしまった。たいへんな世の中になったものだ。
 この本は、大学で放射線に縁の深い仕事をしてきた研究者たちが、私たち素人のために、できるだけわかりやすく放射線や放射性物質について説明しようとした本。
 内容のもととなっているのは、福島第一原発の事故以降、東京大学で学生向けに行われた自主講座などの講義。大学生相手のものであること、さらには研究者の書いたものであるだけに、完全に一般向けとはいえず「やや専門的」といえる内容だが、(1)放射線とは何か、(2)どういうふるまいをするものなのか、(3)事故で放出された放射性物質の内容とその影響、(4)事故による放射性物質が環境や人体にどのような影響を与えるか、といった事柄について、福島などを含む実例も示しながら幅広く説明している。放射線に関する入門書としては、非常に優れたものとなっている。
 基本的に、事故由来放射性物質がどのような害をもたらす可能性があるのか、という点が説明の主体だが、最後の11章として「役に立つ放射線」という項目が設けられていて、「放射線は害を与えるばかりでなく役にもたっている」という著者のメッセージが伝わってくる。同じ研究者でも、原発推進派の著作などでは、こうした項目はトップを占めているのが普通だが、この本は、ほんの最後につけたしのように加わっているところが、研究者としての内心の思いが伝わってきて興味深い。

目次内容
1章 放射線とは? ≪放射線入門≫
 放射線、放射性物質と放射能
 放射線と放射能の単位
 身のまわりの放射線
2章 放射線の性質 ≪放射線物理学≫
 放射線の種類と透過力
 荷電粒子の物質中でのふるまい
 光子の物質中でのふるまい
 放射線と物質との相互作用のまとめ
3章 原子力発電で生みだされる放射性物質 ≪原子核物理学・原子力工学≫
 原子核と原子力
 原子核の種類
 放射性核種の崩壊
 原子核の安定性
 原子核反応
4章 放射線量の評価 ≪放射線物理学U≫
 放射線量の単位
 放射線量の計算
5章 放射線の測り方 ≪放射線計測学≫
 放射線計測の原理
 食品中の放射性セシウムのγ線測定
 放射性ストロンチウムの分析法
6章 環境中の放射性物質 ≪環境放射化学≫
 放射性物質による汚染の実態
 汚染土壌の形成過程
 放射性物質の「除染」
7章 放射線の細胞への影響 ≪放射線生物学≫
 地球の磁場による宇宙線(放射線)のバリアー
 放射線がDNAに与える影響
 DNA損傷の修復
 DNA損傷を抱えたままのがん細胞
8章 放射線の人体への影響≪放射線医学≫
 被曝による影響の種類
 過去の事例からの考察
 現代人の死因
 健康診断の有用性
 がん治療の最前線
9章 放射性物質と農業 ≪植物栄養学・土壌肥料学≫
 植物と土壌
 セシウムという元素
 暫定基準値、基準値の意味
 ファイトレメディエーション
 森林と放射性セシウム
10章 放射線の防護と安全 ≪放射線防護学≫
 内部被曝と外部被曝
 外部被曝からの防護
 内部被曝からの防護
 安全のための防護の考え方
 被曝線量の基準値
11章 役に立つ放射線 ≪放射線の利用・加速器科学≫
 放射線の利用
 人口の放射線をつくる
Q&A

(内藤忍)