森 時尚/行動隊は「安全風評被害」と疑心暗鬼から国民を救ってくれる一助になるのではないか

 

【略歴】
昭和三十七年生まれ。東京生まれ東京育ち。高校を卒業後フラフラと日本を点々としていました。三十歳を過ぎて結婚、カメラマンになりました。
今は結婚式を中心に撮影のフリーカメラマン。千葉県の九十九里浜の近くに住むようになって6年が経ちました。

事故当初は「安全です」という言葉を信じたかった一人です。しかし、余談は許さぬ状況と思い一次情報を得るためにインターネットで東電の会見を見るようになりました。
第一原発で作業に当たる方々を応援する思いもあり見始めた会見の内容は隠蔽の連続でした。本当の事を分かっている事を全て出してくれれば良いのに全く出そうとしない。今何が起きているのか?そいう恐怖と苛立ちの日々でした。

四ヶ月半が経過してしまった今たくさんの被爆者が出ています。日本中、世界中の人々が第一原発の放射能で被曝したわけですが、最も被曝しているのが第一原発の作業者達です。以前にテレビで原発下請け作業者が事故後に会社から招集されていく姿を見ました。妻と子供に別れを告げる作業者の姿はまるで第二次世界大戦の特攻隊のようでした。どうして、こんな事にとテレビの前で絶句し涙が出ました。

それから暫くしてから行動隊の方々の事を知りました。山田さんの「若い人を被曝させてはならない」その言葉が胸に沁み、申し訳ないけれどお願いいたします。と心の中で叫んでいました。

期待している事は作業の進展も去る事ながら、今の第一原発は本当はどうなっているのか? そして懸念される汚染水の海への流出はどうなっているのか? そんな事を世間に露にして欲しい。
京都大学実験所の小出先生が行動隊に入っていると聞き、原子力の専門家がそこに居る事は、今までずっと隠されていた内容を出してもらえるのでは無いか? そんな事を感じています。
行動隊の方々には本当に大変な状況の中に入っていただく事が申し訳無いのだけれど「安全風評被害」と疑心暗鬼から国民を救ってくれる一助になるのでは無いかと期待しています。

若い人達、特に子供達には大変申し訳なく感じています。もっと社会というものに向き合うべきでした。もう落ちてしまった放射能を無くす事はできないけれど、それでも、どうしても見たい明るい明日の為に、この放射能から少しでも少ない被曝となるよう考え行動していきたいです。

ただ、この放射能や原発に代わるエネルギーの問題を、欧米的な感覚でもってドイツはこうしたスウェーデンはこうしたと真似をするのはどうなのか?(もちろん参考にはなるのですが)
日本は日本らしくできないのか? そんな事を感じます。
311の被災者の態度を全世界が驚嘆を持って賞賛していました。しかしそれは関東大震災でも同じように欧米の記者達は被災者を賞賛していたのです。
日本人の持つ特質は時代を超えて自然災害に向き合っています。しかし放射能にまで寛容に向き合っています。日本人らしく、しかし放射能だけは別物なのだという事がどうにかして出来たら良いのになと、今は日々考えるようになりました。